Part・I

日時
1998年5月2日(土)〜5日(火)(3泊4日)
行き先 大分・別府〜熊本・阿蘇 温泉めぐり
参加メンバー
なんしぃ (TZR250R)
大二郎師匠 (ファイアーストーム)

 

 

 国民的大型連休・ゴールデンウィーク。
子供から大人まで歓迎されるこの休日に、私の師匠である大二郎(一つ年下であるが…)が泊りがけのツーリング
を企画した。
 行き先は九州・阿蘇。根っからのバイク野郎である師匠は、南のライダーの聖地といわれるこの土地に何度もツーリング
に出かけており、その魅力に取り付かれている一人だ。彼の愛車はVTR1000F。国内仕様ではあるが、リミッターは
もちろん外されており、同仕様には無いライトスイッチをわざわざ装着している変わり者である。
 対する私・なんしぃはこの頃大型免許取得に向けて教習所に通う毎日で、ファーストマシン・CBR900RRがあるにも
かかわらず免許が無く、やむを得ずセカンドマシン・TZR250Rで参戦することとなった。
  −思えば、このツーリングが「早く大型を取るぞ!」と決意を固めたものになってしまったが−
ということで、男二人の怪しいツーリングが始まったのであった…。

 

第一日目(5月2日)
 
行程:広島→山口・徳山→(フェリー)→大分・国東→別府→湯布院(泊)

 まず始めに、今回のツーリングの大まかな行き先を検討することになった。
え?そんなもん、出発前夜までにやっとけって?いや〜、お互い仕事が忙しくて、そんな機会が無かったのねん。
今回のツーリングはズバリ「温泉三昧」が大目標。とにかく一日3つ以上は温泉に入るというのが大儀であった。
しかし超貧乏であるこの二人は、まともに宿に泊まっていては金欠病になってしまう。ということで、キャンプ道具を
持参して阿蘇の麓でキャンプしよう!ということになった。
ということで午前中は近所のスポーツショップでバイク用の寝袋とストーブ(カセットボンベで点火する携帯用コンロ)の
用品を買いあさる。…といってもバイクなので、そんなには色々持って行けない。師匠の経験と勘がモノを言う。
 購入後すぐ荷造りに入る。TZRはぜんぜん荷物が載らない(というか、載せたら走らない)ので、VTRにどっさり詰め込む。
この日は徳山まで高速でカッ飛んで大分行きのフェリーに乗船、その後別府の町外れにある宿に泊まる予定だったが、
フェリー航行時間を考慮すると午後3時ぐらいのに乗船しないと、宿に入る時間が遅くなってしまう。
ようやく荷造りが終わったが、このときすでに時計の針は2時を指していた。

 荷物を抱えた二台のバイクは、広島インターをくぐって一路徳山を目指す。ここで追い討ちをかけるべく、天気予報の
とおりの雨が二人を襲う、時間が無いこともあり、雨に負けじと二人ともカッ飛ぶが先行する師匠のVTRの速いこと。
雨と向かい風の直撃を食らうTZRのなんしぃは、いくら頑張っても法定×2が限度。比べて1000ccのVTRは荷物を
満載しているにもかかわらずその1.5倍ほどの速度で疾走。大型バイクの格の差を見せ付けられる。
 結局徳山に着くまでは雨は止まず、心身とも疲れ切ってしまった二人。おまけにフェリーに乗り遅れてしまい、予定
していた便の一時間後の便に乗る羽目になってしまった。

 フェリーが大分の国東半島に到着したのは、日も落ちた午後6時半。雨は相変わらず降っている。師匠と私はバイクの
エンジンをかけ、国道213号を別府へ向けてひた走る。途中軽い渋滞にはまりつつも別府市内に着いたのは、午後8時
前であった。
「うはぁ〜、疲れる〜!」とため息交じりの言葉を発するなんしぃにちょっと呆れ顔の師匠。だがその師匠も流石に疲労は
隠せない様子で、にやりと笑う顔が若干引きつっている。本来であればこの時間ではすでに宿に到着して、暖かいご飯
を食べている予定である。しかし悲しかれ、二人は寂しくコンビニで食料到着。コレもすべてフェリーに乗り遅れたのが
敗因である。

 別府市内で軽く食事を済ませた二人は、再び雨の中に身をゆだねる。ここから宿泊地の湯布院までは、峠道を越えて
行かなければならなかった。このときなんしぃは、自分の乗るTZRの調子がおかしいことに気が付いていた。何となく
アクセルが重たいのである。長時間走りっぱなしで腕が疲れていたせいか…?そう思いながら、快調に雨の峠道をカッ
飛ぶ師匠を必死で追っかけた。
しかし、突然それは災いとなってなんしぃに降りかかってきた!
「!そんな馬鹿な!!」アクセルをいくら捻っても、回転が上がらなくなったのである。TZRはみるみる失速し、ついに
止まってしまった。街灯があるとは言え雨の夜の峠道。こんなところで止まってしまったら野宿は必至。街からもかなり
離れており、とても押して歩けるような距離ではなかった。
 無常にもとっとと先に行ってしまった師匠を尻目に、なんしぃはTZRを降りて少ない明かりでマシンをチェックする。
アクセルグリップがスカスカで、まったくエンジン回転数が上がらない…ひょっとしてアクセルワイヤーが切れた!?
そうなると事態は最悪である。冷静に「どうすれば良いか…」と考えていると、異変に気づいた師匠がUターンして
戻ってきてくれた。
「どしたん?何しよーるん?」
「いや、アクセルが回らんようになったんよ。ほら。」
師匠がアクセルをぐいぐい回し、何かに気が付いた様子でそのグリップを引っ張り始めた。すると、TZRのアクセルグリップ
スポッと抜け、白いアクセル本体が顔を出したではないか!
「あーっ!抜けたっっ!」
師匠、爆笑(笑い事じゃねーっつーのっ。)
どうやらこの雨の中でアクセルグリップの接着が剥がれてしまったようである…。針金があれば巻きつけてやることは
出来るが、そんなものは持ってない。しかし、アクセル本体を握ってやれば回せないことは無いので、とりあえずグリップ
を外したまま出発することになった。しかし雨の中を走行するのでグリップが滑りやすく、また敬が小さくなってしまっている
関係で通常の二倍ほどの握力でアクセル操作しなければならないため、湯布院に着いたときには右手が動かなくなる
ほど衰弱していた。
こうして、波乱の一日目は無事終了した。

  師匠となんしぃのマシン・2ショット。
  よく見ていただくと、TZRのアクセルグリップ
  が無い(白くなっている部分がそれ)のが
  お分かりいただけると思う。
  結局このツーリング中、ずっとこのままで
  走り切ることになってしまった。
  日ごろのローメンテさが伺える…!?


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